パラサイト 性描写。 『パラサイト』舞台挨拶に草なぎ剛が登壇 ポン・ジュノ&ソン・ガンホに韓国語でラブコール|Real Sound|リアルサウンド 映画部

【ネタバレ考察】『パラサイト 半地下の家族』ブルジョワは今そこにある危機に気づけないチェ・ブンブンのティーマ

パラサイト 性描写

プロの書き手も一般観客も絶賛の嵐だ。 ほとんど批判がない。 こんなことはめったにない。 大ヒット中の韓国映画「パラサイト 半地下の家族」である。 公開当初はネタバレ厳禁の縛りが強く、中身にはあまり触れられずに「面白い」という言葉が独り歩きした。 今もしている。 ではこの作品、絶賛の嵐が吹き荒れるほど面白いのか。 「面白い」か「面白くない」かの二者択一なら、確かに面白い。 ただ筆者は正直にいって、期待をはぐらかされた。 金持ち家族に貧困家族がパラサイトしていく話の展開が、予想もつかない方向でぐんぐん勢いを増していく。 それを支える芸術的とさえいえる画面の造形力が全く申し分なく、それらを集約して面白いのは間違いない。 ただ、その面白さは刺激的ではない。 興奮しないのだ。 少なくとも、筆者はそうだった。 回りくどいことをいっているのではない。 そういうことが、映画の世界ではあり得る。 人間描写の部分で弱さがあり、それが映画全体から受けるダイナミックな刺激、興奮に結実しないからだ。

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日韓映画における犯罪行為の違い、『パラサイト 半地下の家族』と「万引き家族」

パラサイト 性描写

TBSラジオ『アフター6ジャンクション』の看板コーナー「週刊映画時評ムービーウォッチメン」。 ライムスター宇多丸が毎週ランダムに決まった映画を自腹で鑑賞し、生放送で評論します。 今週評論した映画は、(2019年12月27日公開)。 今夜扱うのはこの作品……。 『殺人の追憶』『グエムル-漢江の怪物-』『スノーピアサー』などなどのポン・ジュノ監督最新作。 全員が失業中の貧しい家族が、IT企業を経営する富裕な家族にパラサイト(寄生)を始めたことから思わぬ事態に発展していく。 主演はポン・ジュノ監督と4度目のタッグとなるソン・ガンホ。 共演は『最後まで行く』などのイ・ソンギュンなどなど。 第72回カンヌ国際映画祭でパルム・ドール(最高賞)を受賞。 そして 第92回アメリカ・アカデミー賞で作品賞、監督賞を含む6部門、主要部門ですからね、ノミネートされるなど、世界中で高い評価を集めております。 アジア映画でアカデミー作品賞にノミネートされたのは初、ということでございます。 ということで、この『パラサイト 半地下の家族』をもう見たよ、というリスナーのみなさま、<ウォッチメン>からの監視報告(感想)をメールでいただいております。 ありがとうございます。 メールの量は、 「とても多い」。 先週の『フォードvsフェラーリ』に続きメールの数は多め。 そして先週以上に絶賛評が多く、 全体の9割が褒めでございました。 褒めている人の主な意見は、「前半は笑いながら見ていたが、後半からどんどんすごいところに連れて行かれ、最後はズドンと重い宿題を渡された」「すさまじい脚本で、今もその要因を引きずっている」とかですね、「家、町並み、演技、小道具……画面に映るすべてが完璧。 ポン・ジュノ監督の最高傑作。 いや、韓国映画史上でも最高傑作では?」などなどございました。 一方、主な否定的な意見は、「ラストに納得がいかない」「格差社会へのメッセージとしては弱いのでは?」とか「映画の中でのフィクションラインが曖昧で乗れない」などがございました。 現代における金持ち描写の最高峰だと思います」(byリスナー) ということで、代表的なところをご紹介しましょう。 「オレンジエコー」さん。 「『パラサイト 半地下の家族』、ウォッチしてきました。 期待以上の名作かつ怪作で、ポン・ジュノ監督の新たなステージではないかと思います。 (半地下に住んでいる貧乏な家族と金持ち家族の)どちらの家族にも愛着を持てるからこそ、誰にとっても他人事ではないと感じさせる脚本やキャストはもちろんのこと、何と言っても美術や撮影が素晴らしかったです。 監督の過去作では『団地』や『列車』という箱庭を用いて社会を描いてきましたが、今度は『家』という最小単位。 多くの映画で空虚に描かれがちな豪邸や、そこでの暮らしが、スタイリッシュで温かみもありながら、どこか奇妙で滑稽。 つまり本当の意味で美しく描かれ、 あの家が登場人物みんなにとってのファム・ファタールであるという説得力が半端なく、現代における金持ち描写の最高峰だと思います。 他にも魅力を挙げればきりがありませんが、 『映画を好きでよかった。 圧倒的感謝です!』と感じさせてくれる最高の映画体験でした」という。 たしかに、金持ち描写っていうのをさ、説得力ある感じで……しかもね、その映画の中身とちゃんとリンクさせてっていうのはね、意外と難しいことかもしれませんね。 それを見事にやっている、というご意見がございました。 一方ですね、「ポコターン」さん。 この方はイマイチだったという方。 「自分にとってこの映画のリアリティラインはあまり合わない感じでした。 娯楽作品として見れば過不足なく手際のよい物語の語り口、適切な演出でポン・ジュノ作品を初めて見た自分でも実力は十分に伝わってきます。 しかしながら、下層階級の家族が上流階級の家庭に食い込んでいくというお題目のために都合の良い展開が多すぎるなと感じました」。 それでいろいろと書いていただいて……「自分にとってこの映画は全体的にフィクショナルすぎてふわふわした印象でした」というご意見でございます。 というところで皆さんね、メールありがとうございます。 今回のムービーウォッチメン用に。 TOHOシネマズ日比谷で2回、見てまいりました。 だから計4、5回はもう繰り返し見てる感じだと思いますけど。 ということで、平日昼にも関わらずですね、この日比谷も、ご年配の方々を含め、かなり埋まっていて。 実際に配給会社の方もね、 「記録的ヒットだ」というようなことをおっしゃっているようです。 もちろん、さっきから言ってるようにもう世界的に高い評価を得ているということもありますし、日本の出ている映画評なども本当に……たしか週刊文春のシネマチャートでも全員満点とか、軒並み超高評価。 僕も満点を付けましたし。 とにかくすごい圧倒的な前評判の高さに加えて、実際の作品自体がですね、確かになるほど、誰の目から見ても明らかな形で、 まずはストレートにむちゃくちゃ面白いんですよね。 映画としての語り口、まさに極上だし、途中には、見た誰もが度肝を抜かれるであろう仕掛けも用意されている。 その上、痛烈な社会批評と、最後にはそのね、皆さんがおっしゃっているように、ドスンと腹に来る余韻が残るという。 要はあらゆる意味で、ぶっちぎりでハイレベルな1本なので。 これに今、ちゃんと日本でも観客が集まっているっていうのは、とてもいいことであるという風に、私も嬉しく思います。 脚本・監督のポン・ジュノ。 長編デビュー作、2000年の『ほえる犬は噛まない』から本当に、すでに「ああ、これはすごい才能だな」という感じでしたけど。 僕がやってきた映画時評の中ではですね、2009年の『母なる証明』。 これ、ウィークエンド・シャッフル、シネマハスラー時代の2009年11月23日に扱いましたが。 その後、ポン・ジュノさんはですね、フランスのグラフィックノベル、バンド・デシネ原作で、豪華ハリウッドスターたちをキャスティングした『スノーピアサー』、2013年の作品であるとか、それに続いてやはり豪華ハリウッドスターが多数出演、Netflixでもう莫大な金額をかけて作った『オクジャ』っていう、これは2017年の作品と、要するに世界進出モードのSF大作、というのが続いたわけですが。 まあの『パラサイト』で、久々にその韓国のね、ドメスティックな社会の現実をアイロニカルに描き出す、という、言わば十八番の路線に回帰した、という風に言えると思います。 まあ今年、この番組でも1月8日にオンエアーいたしました、ポン・ジュノさんとソン・ガンホさん、今回の『パラサイト』のタイミングで私、インタビューをさせていただきました。 これ、みやーんさんの非公式書き起こしもね、読めますから。 こちらも読んでいただきたい。 で、そこでポン・ジュノさんがおっしゃっていたのは、企画自体は『オクジャ』よりも前に始まっていたというのもあって、外国か韓国かという制作環境の違いというよりは、やっぱり制作規模…… 「作品のサイズ」が、『殺人の追憶』『母なる証明』のように、自分にぴったりなサイズに今回戻ってきた、という気持ち、その部分が大きい、ということをおっしゃっていました。 そこがすごい印象的でしたね。 まあ笑いまじり、冗談まじりのムードでしたけど、「これからはずっと小さい映画を作っていきたい。 大きい映画は作りたくない!(笑)」なんてことをおっしゃってましたけどね。 実際のところ、今回の『パラサイト』はまあ、そのインタビュー中でもおっしゃっていたようにですね、実は大掛かりなところは超大掛かり、お金もしっかりかかった一作なのは間違いないのですが……という。 それが映画としての、普遍的な、誰が見てもわかる面白さとか、誰が見てもわかる深みとか凄さとして結実している、っていうことなんですね。 まあその意味で、 前からむちゃくちゃすごかったのに、はっきりさらにすごくなった、というのが今回の『パラサイト』だと言えると思います。 まず、その話の構造がですね……ああ、ちなみに今日も決定的なネタバレはもちろんしないようにします。 ポン・ジュノさんもね、いろんなところで「(ネタバレ)しないでください」っておっしゃっていますから。 決定的なネタバレはしませんけども、もちろんいろんなディテールだとか、「こういう場面がありました」なんてことは触れるので。 全く情報を入れたくない方は……まあ、ふと聞いちゃっている人もいるでしょうから。 『パラサイト 半地下の家族』が評判になっているから、全く情報を入れずに行きたいという方はね、追い追いね、タイムフリーであるとかラジオクラウドとかで追い追い聞いていただく。 まあ、その間はね、他にもいろんな楽しい局が、楽しいラジオをやっていると思いますんでね(笑)。 フフフ、なんてことを言うんだろう、私はね(笑)。 ということでまずね、今回の『パラサイト』。 話の構造がそもそも今までのポン・ジュノ作品に比べてものすごくシンプルですよね。 親子4人、定職がないまま綱渡り的な生活をしている貧しい家族がいて。 その彼らの貧しさの象徴というか、まあ韓国に実際に多くあるというその半地下の住居っていうのがあるわけです。 これ、パンフレットに載っている町山智浩さんの文章によればですね、元は北朝鮮の攻撃に備えた防空壕だったものが住居として使われるようなったということらしいんですね。 で、この「元は北朝鮮の攻撃に備えるための……」っていうのは、ご覧になった方はすでにお分かりでしょうが、後半に出てくるアレと呼応している、ということがございますよね。 ちなみにこの家族が貧しくなってしまったきっかけとして、お父さんが事業に失敗して、その事業というのが 「台湾カステラ」のお店を出したという。 これもやっぱり実際に韓国で近年流行って、それでバタバタッと潰れていったという、そういう実際の事実をベースにしているというのがあります。 で、まあとにかくその職がほしいという家族4人がですね、それぞれ身分を偽って、ある超お金持ちの家に入り込んじゃうと。 前半は、彼らが次々と策略・謀略を仕掛けていって。 まあこの策略・謀略も、主人公家族がしきりと 「計画がある」「プランがある」ということを口にするんですけども。 これがラストに行くにしたがって、その「計画」という言葉がですね、僕には計画がある、私には、俺には計画があるっていうのが、 重い意味を持ってくる……というあたりも、ご覧になった方はお分かりのあたりだと思いますね。 まあ、とにかくとある「計画」を持って策略・謀略を仕掛けていって、金持ち一家たちがまんまと、間抜けにも騙されていく、というプロセスを、デフォルメされたコメディタッチで、非常にコメディタッチで見せていくわけですね。 まあ一種のコンゲーム物的な面白さと言いましょうかね、騙して潜入していくという、コンゲーム、詐欺物ですね。 その面白みがある。 よくある話。 それこそ前述のインタビューの中でも触れたキム・ギヨン監督の、1960年のまさに韓国映画クラシック『下女』とかですね。 これ、ポン・ジュノさんも言及していましたけども、階段の使い方とかを含めて、本作に大きく影響を与えている、これは間違いないことでしょうし。 まあ『小間使の日記』とかですね、『テオレマ』とかも入れてもいいかもしれませんね。 ジャン・ルノワールの『素晴らしき放浪者』とかも入れてもいいのかな、とか、いろいろとあるわけです。 個人的には、「家族ごとパラサイトしてくる」っていうこの感じは、『魔太郎がくる!! 』にですね、そういうエピソードがあるんですよ。 それをちょっと連想したりしましたけどね。 あとは同じ藤子不二雄Aさんの作品だと、『ひっとらぁ伯父サン』とかも、家にパラサイトしてくる、乗っ取られる話ですよね。 まあ、ともあれ前半はそんな感じで、ある意味観客も、いわばジャンル的安心感の枠内で、楽しく見られるわけですよ。 「ああ、まあまあ、乗っ取ってくる感じね。 ああ、面白い、面白い」って。 その行く先が見える感じで楽しめるわけです。 ただ、それでもですね、単に主人公家族がブルジョワ一家をまんまと篭絡して痛快だ、となるだけではなさそうだな、というような、 フッとハシゴを外されるような瞬間も、実はいくつか事前に周到に仕掛けられていて。 たとえば、ソン・ガンホ演じる、この半地下の家族のお父さんがですね、先方の金持ちの家の奥様……これ、チョ・ヨジョンさんが、 黒木瞳的奥様感と言いましょうか、その奥様と2人きりになって、ある秘密を共有する、という場面。 これ、これまでのそういう入り込み物、家族入り込み物、異物入り込み物なら、ここで奥様側も「ドキッ!」っていうね。 主人にはない何かワイルドみにドキッ!みたいな、そういう展開になりがちなところを、実際にここで彼女が返してくる反応というのは……というあたり。 そして、それを受けてのソン・ガンホさんの物言わぬリアクションがまた、おかしくも哀しい、っていう感じが本当に最高なんですけども。 あるいは、やはりソン・ガンホさんのお父さんと、金持ち一家の主であるパク社長。 これ、演じてるイ・ソンギュンさんね。 『最後まで行く』という、僕はすごい好きな映画がありましたけど。 あれでも主演をされてましたが。 それがですね、まあパク社長に向けてそのソン・ガンホが、 「奥さんを愛していらっしゃいますもんね」って、まあお世辞半分に言っていることなんだけど、それに対して思いのほか、冷めた反応が返ってくる、ってあたり。 これもやっぱり、終盤と呼応していますね。 「奥さんを愛していらっしゃいますもんね」っていうこのセリフね。 というあたりで、 「あれ?」っていうね、その今までの入り込み物の温度感とはちょっと違うのか?っていう、フッとそういうハシゴを外されるような瞬間が、用意されてはいる。 まあ、とにかく一見、まんまとブルジョワ一家に取り入っていく半地下家族、というのが前半なわけです。 それをいいことに、堂々と家族団らんの酒盛りを始める一同、という。 なんですけど、その全面ガラス張りのリビングっていうところで、まずちょっと不安が募りますよね。 見てるだけでね。 なんか、「見られちゃう」感じがするし。 そして、外が激しい雷雨になる、それと共にですね、 物語全体が、想像もつかなかった方向に一気に転がりはじめていく!というのが、まさにこの映画の、キモ中のキモなわけですね。 特にやっぱり、「あっ、何かが……決定的に何かがおかしい方に行く」っていうきっかけが、 「人物の、思ってもいなかった角度の姿勢」というのが、ポン・ジュノっぽいですよね。 そんな姿勢!? っていう。 この空間でその姿勢はない!っていうことが起きてる、っていうあたりだと思います。 当然、ちょっとここから先の話は、具体的には言いませんけども。 何が起こるかは具体的に言いませんが、ただちょっと抽象的な説明の仕方を重ねますけども。 ポン・ジュノ作品、これまでも非常に印象的だった、 「闇の奥に何かがある」っていうショット。 「奥に何かがある」っていう感じはすごく今までも印象的に使われてきたんですけど、今回はさらにその闇の奥にですね、要するにその得体の知れない領域に、主人公家族も我々観客も、まさにカメラと共に、文字通り 「連れて行かれてしまう」っていう作りになってるわけです。 これまでもポン・ジュノ作品、既存のジャンル的なその予想の範囲を超えて、最終的に、 得体の知れない領域に行ってしまう、という作品ばかり撮ってきました。 見終わってみると「何だ、この感情は?」とか。 「最高の映画だし、最高に面白かったけど、 今、どんな気持ちになれと……?」っていうね。 言葉で説明できないところに連れて行かれる、っていうのは今までもありましたけど、今回の『パラサイト』は、 それがストーリー、そして映画としての語り口と、シンプルに一致しているんですね。 主人公のその家族たちと観客もですね、要は今まで「こうだ」と思っていたような物語世界が、実は全く違う本質を持ってることがはっきりしてしまう。 それによって世界の意味がひっくり返るような感覚を、主人公家族と同時に我々観客も、直接的に味わうことになるわけです。 今まで思ってたような世界じゃなかった。 そして先ほど言いました、ポン・ジュノさんとソン・ガンホさんへのインタビューでも触れた通り、ここに至って、その大邸宅のですね、すごく印象的にある階段であるとか、その上下の構造。 あるいは、あの金持ちの家に行くために、まあ坂を登ってくるわけですよね。 その、地理的な構造。 つまり、階段や坂を介した上下の構造が、 物語的なテーマと実は直結してたんだ、ってことに、我々観客はそこで気づくわけです。 「ああ、『半地下』の家族って、そういうことか!」みたいなね。 で、もちろんポン・ジュノ映画、これまでも、地形の高低差とかそういうのを、印象的に使ってきました。 たとえばそうだな、『母なる証明』だったらね、あの死体が置かれていた、あの2階の屋上の、高台のところから見晴らした街とか、そういうのは使ってましたけど。 今回の『パラサイト』は、それがストーリーやテーマと、シンプルに直結している。 まさに映画ならではのストーリーテリング、っていうのがすごくスマートにできてるとか。 またですね、やはりこれまでもポン・ジュノ作品が際だって上手かった、 非常にミニマルなシチュエーションなんだけど、それを最大限のスペクタクル、サスペンスに仕立て上げてしまう手際。 小さなシチェーションなのに、すごいでっかいサスペンス、スペクタクルがある。 ですけど今回の『パラサイト』の中盤はですね、まさにそのテクニックの、拡大・連発版ですね。 まあその、要は 「家屋内かくれんぼ」だけでですね、これだけハラハラドキドキ、しかもいろんな引出しで(ハラハラドキドキ)させられるだけでも、まあやっぱり半端な腕じゃないですし。 しかも今回の『パラサイト』では、その家屋内かくれんぼのハラハラドキドキにもですね、テーマと直結した、やっぱりそこでも上下の構造……上にいる人、下にいる人、そしてクライマックスの布石となる 「匂い」という、非常に残酷なモチーフを絡めてきてるわけで。 二重、三重にすごいわけですね。 ちなみにこの、匂いというくだり。 半地下住居のその匂いというのはですね、韓国の方は割と「ああ、あの匂いか」ってわかるような、結構具体的なものとしてあるらしいんですけどね。 でも、(そうした認識を共有していない他国の観客である)我々にとっては、やっぱり僕がインタビューの中でも言った通り、映画においては不可視な「匂い」というのを使って差別というものを表現されると、もうこっちはどうにもできない…… 「お前は臭い」と言われるとどうにもできないっていう、残酷な差別の構造として、やっぱりこれは非常に演出として生きている。 ともあれ、さっきから言ってるように、高低差によって示されたその社会の構造。 そのまさに、まさに文字通り「下流」にいる者たち同士がですね、構造全体の不条理には怒りが向かず……なんならそっち、構造全体の不条理に関して諦めちゃってるから、(劇中のセリフ通り) 「リスペクト!」までしちゃってですね。 それで、その下にいる者同士で、食い扶持を確保するために争い合うっていう、そういう悲しい、でもぶっちゃけこれが現実にはやっぱりよく噴出する構造でもある、というその展開の果てに……プラス、もちろんさっきのインタビューでも触れた、一大スペクタクルシーンが用意されています。 これはもう、 「ああ、ここがこんなスペクタクルになっちゃうのか!」という見せ方。 しかもそれがやっぱりテーマとも直結している、というその展開の果てにですね。 ここは元のシナリオ以上に、「ソン・ガンホが演じる」説得力によって、よりくっきりしたメッセージが込められたものに変わったらしいんです。 要するに、とある人物の行動が、シナリオではもっと、どういう意志でやったものかが曖昧だったのが、 ソン・ガンホが演じるならこれは説得力を持たせられるんだ、ってことで、はっきりと意志を持ってとある行動を取る、というクライマックスへと突入していく。 インタビューでポン・ジュノさんもおっしゃっていた通りですね、このシンプルな語り口と構造を、真に豊かなものにしているのはやっぱり、そのさっき言ったソン・ガンホさんとかを含めて……もちろん、見事というほかない美術や撮影、それら全てを緻密にイメージボードを書いてコントロールしているポン・ジュノ演出はもちろんなんですけど、やっぱり、ソン・ガンホさんをはじめとする俳優陣の力、というのが当然、大きいわけです。 中でも家政婦役を演じたイ・ジョンウンさんは実は監督の過去作では…… ソン・ガンホさんね、その、のほほんとした親父から、終盤にかけて特に……笑顔が完全に消えるんですね。 そのシリアスなトーンっていうところの演技はもちろん見事なものですし。 あとやっぱりソン・ガンホは、声がいい、というあたり……特にラスト周辺で、それ(声のよさ)が非常に、抜群に生かされるのは、その半地下ファミリーの息子、チェ・ウシクさん演じる息子さん。 オープニングと対になった、そのラストショット。 オープニングと同じく、その半地下で、カメラがグーッと下りてくると、その息子の顔になる。 まさにポン・ジュノ映画の幕切れにふさわしい、あの眼差しですね。 あれも見事なものでしたし。 パク・ソダムさん演じる娘もですね、非常にストリート感、ゲットー感っていうのと、転じて、演技としてのハイソな知性みたいなものを、本当に見事に演じ分けられてて、素晴らしかったですし。 あとお母さん。 チャン・ヘジンさんのね、元ハンマー投げメダリストっていう、あのなんか「太いキュートさ」って言うんですかね? 図太いキュートさという。 あれも本当に見事なもんでしたしね。 あと、今回一番実は重要なのは、追い出される家政婦役。 ムングァンという役の、イ・ジョンウンさん。 彼女は、『母なる証明』の、被害者の女子高生のお葬式のシーンで、母親に食ってかかる、一番目立っていたあの女の人。 あるいはですね、 『オクジャ』のあの生き物の、鳴き声を演じている(!)。 だからその、ポン・ジュノさんの信頼が非常に厚い女優さんなんだけども。 今回も、本作のある意味一番、要の役ですね。 「おもしろうてやがて哀しき……」っていうあたり。 そして、ネタバレできないので詳しくは言えませんが、やっぱり 「リスペクト!」なあの人。 要するにその、さっき言った社会の不条理な構造に関して、諦め切った人。 その思考の、狂気性、ピュアさも込みで、見事に体現されてますね。 あの人の佇まい……バナナの食べ方! まあもちろんね、金持ち家族も素晴らしい。 金持ちの娘・ダヘさん。 チョン・ジソさんですか。 普通にアイドル的に、なんか「坂道」にいそうだな、みたいな感じで、すごいかわいかったですけどね。 元々すごかったポン・ジュノがさらにすごい一本を撮ってしまった! そんな感じでですね、まあちょっとネタバレできない範囲も多かったんでね、このぐらいにしておきますが。 ラストに向けて、語りの位相がシフトしていくあたり。 この人のナレーションか、と思ったら、この人のナレーションになっている、という風に、語りの位相がシフトしていくことによって、現実と想像の境がどんどん淡く、曖昧になっていく……かと思いきやの、さっき言ったその、オープニングと対になった着地で。 そして音楽も、ちょうどそこで着地、っていう。 この、 ドスンと来る余韻。 結局やっぱり、現実に(作中の問題提起を)持って帰らされる。 「で、あなたたちは……?」って来るわけですね。 ということで、面白さ、そして語り口のシンプルさ、スマートさ、深さ。 驚き、サプライズもある。 そして、ユーモアと残酷さもある。 撮影とか美術とか音楽の質の高さもある。 もちろん、演技の素晴らしさもある。 とにかくすべてが、あらゆる面ですごいレベルというか。 もう、これだけ絶賛するしかないのが、本当に悔しいぐらいなんですが。 だって、褒めるところしかないんだもん!っていう。 元々すごかったポン・ジュノが、さらにさらにすごくなって帰ってきた、すごい1本を撮ってしまった。 そんな1本。 そりゃあ当然、劇場でウォッチしてください! (ガチャ回しパート中略 ~ 来週の課題映画はです) 以上、「誰が映画を見張るのか?」 週刊映画時評ムービーウォッチメンのコーナーでした。 (ガチャパートの前)ポン・ジュノ作品は、細かいところのキャスティングの 「顔チョイス」が本当にセンスいいことで知られているんですけども。 今回は特にね、 あの、終盤の刑事。 本当、あいつの顔が出てきた時に、「いやー、やっぱりポン・ジュノの顔選び、最高!」って思いましたけどね(笑)。 5MHz/AM954kHz、PCやスマートフォンはで。 聴き逃しはで一週間前まで、それより過去はで。 スマホの方はを使うとより快適にお聞き頂けます。

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日韓映画における犯罪行為の違い、『パラサイト 半地下の家族』と「万引き家族」

パラサイト 性描写

ネプチューンの原田泰造さんと、映画パーソナリティーのコトブキツカサさん。 映画好きなオトナのお二人が、新作や印象の残る名作について自由に語る対談企画。 今回は昨年のカンヌ国際映画祭でパルムドールを受賞し、2月10日(日本時間)に授賞式があるアカデミー賞に6部門でノミネートされた話題の『パラサイト 半地下の家族』について語ります。 【編集部より】極力ネタばれを避けていますが、若干ストーリーに触れている部分があります。 これから作品を鑑賞される方はご注意ください。 (ストーリー)全員失業中で貧困にあえぎ、臭気漂う「半地下住宅」で暮らすキム一家。 大学受験に失敗したキム家の長男ギウは、ひょんなことから丘の上の豪邸で暮らすパク一家の娘の家庭教師の仕事を得る。 ギウは自分だけでなく家族を呼び寄せて、少しずつパク家に寄生(パラサイト)するプランを実行する……。 公開がはじまったらみんな観(み)にいってたね。 コトブキ 観た人の口コミ効果もすごいですね。 公開されてから、上映する劇場の数も倍になったくらいですから。 カンヌを獲ったり、ほかの賞レースも騒がせてるということで、注目度がグンと増しましたけど、泰造さんも僕も韓国映画が大好きで、ポン・ジュノ監督、ソン・ガンホ主演とくれば、何もいわれなくても絶対観るタイプの作品じゃないですか。 原田 絶対観る(笑)。 でも、本当に評判がいいから、見る前にハードル上げすぎたらよくないなと思うくらいだった。 それもあって、前半はコメディ要素が強いなって思ったね。 コトブキ ポスターとかのビジュアルだと、もっと不気味なイメージを受けますよね。 でも、ポン・ジュノって本来はコメディの人ですよ。 長編第1作目の『ほえる犬は噛まない』から、コメディというかブラックな笑いが多かったですから。 原田 監督がハリウッド進出してから韓国に戻ってきた作品ということで、原点に戻ったようなタッチになったのかもしれないね。 でも、冒頭から韓国映画の底力を感じたのは「美術」。 あの半地下の家のディテールはすごかったよね。 コトブキ リアルを超えた生々しさでしたね。 室内だけじゃなく、あの家のまわりの町ごと全部セットで作ったそうです。 丘の上の、金持ちの家のほうも。 この作品には、高低差が格差のモチーフとして出てきますよね。 階段とか、坂とか。 そういえば、一緒にアカデミーにノミネートされた『ジョーカー』も、階段が印象的につかわれてましたね。 原田 テーマとしては似ているもんね。 あと、これもアカデミーにノミネートされてる『ジョジョ・ラビット』も似てると思った。 部屋のなかの誰かとか、最後のほうの展開とか。 コトブキ 今回のアカデミーにノミネートされてる作品は、芸術性と娯楽性がどちらも高いものばかりですよね。 ただ『パラサイト』は、その娯楽性のほうでちょっとひっかかってるという人もいるんですよ。 ミステリー風味で緻密に計算されていますけど、展開が突飛じゃないですか。 ファンタジーとまではいかないけど、寓話性が高いというか。 あの階段を降りていくときのドキドキ感はまさに映画的な興奮だった。 コトブキ 予想外な展開で観客の気持ちを揺さぶってくるから、落ち着かないですよね。 突発的なバイオレンス描写もあったりして。 なにが見えてるってわけじゃないんだけど、揺さぶられた。 コトブキ あれは生理的に揺さぶられますね(笑)。 ポン・ジュノは『母なる証明』でも、行為をしてる近くでお母さんが身を潜めてるみたいなシーンがあったので、多分あのシチュエーションが好きなんでしょうね。 原田 そういう意味では、ポン・ジュノは階段から誰かを突き落とすのも好きだし、飛び蹴りも絶対入れてくる(笑)。 コトブキ あとは「ジャージャー麺(めん)」ですね。 あれが出てくると、ポン・ジュノというよりも、韓国映画だなって思います。 原田 韓国映画の食事シーンはどれも印象的だよね。 今回はソン・ガンホたち一家が家主がいない間にぜいたくする場面もよかった。 コトブキ ソン・ガンホの演技はいつもすごいんですけど、今回は本当に素晴らしかったです。 原田 抑えた演技だけど、説得力がすごい。 俺が俺がって前に出てくることはないのに、主演としての存在感があって、何気ない仕草や表情が強烈なんだよね。 コトブキ ソン・ガンホは、現場で自由に、自然体で演じているように見受けられますよね。 でも、聞いた話によると、ソン・ガンホは映画が決まったらアパートにこもってひたすら稽古(けいこ)するらしいんですよ。 それで完全にセリフを入れて、演技プランも完全に作って、現場に臨むけど、本番ではそれを崩して演技するそうです。 原田 いやぁ~! それはすごいな。 コトブキ これ聞いたときには、さすがだな、と。 僕も最近ちょっとだけ役者をやらせてもらうことがあるんですけど、この話を聞いてひたすら稽古しました。 1行しかセリフがなかったんですけど、それを何百回も繰り返して。 だって、ソン・ガンホがやってるんだから! 原田 それは偉いね! 「ソン・ガンホがやってるんだから、俺がやらなくてどうする」ってことだね(笑)。 コトブキ 『殺人の追憶』でも、ラストはソン・ガンホのアップで終わるじゃないですか。 あの表情で、あの映画を全部説明してるんですよね。 原田 真犯人の存在を感じさせているよね。 コトブキ 『殺人の追憶』は実話に基づいていて、あの映画が作られたときは犯人が捕まってなかった。 だからポン・ジュノ監督はソン・ガンホにカメラを見つめさせて、スクリーンの向こう側にいる犯人にメッセージを送ったんですよ。 原田 「俺たちはお前をずっとみているぞ」という意味なんだね。 コトブキ その犯人が2~3年前に逮捕されたんですよ。 監督は接見しに行こうか迷ってるって言ってましたよ。 「お前はどういう気持ちだったんだ」と聞きたいんでしょう。 原田 犯人は映画を観てたの? コトブキ それが観てるらしいんですよ。 刑務所の中で。 原田 それは興味深いね。 実際に犯人に届いてたってことだもんね。 『パラサイト』のクライマックスでも、ソン・ガンホはいろいろ解釈できる表情をしていたよね。 あのシーンは、ソン・ガンホの演技だからこそ考えさせられるし、成立したんだと思う。 ただ、わからなかった部分もある。 動機になりそうなことは少しずつ提示されてるんだけど、意外な結末は、ちょっと唐突というか、あそこまでの行動に出るのかな? と思った。 コトブキ 確かに、意見が割れる所ですね。 原田 ソン・ガンホが演じているから行動に説得力はあるんだけど、ソン・ガンホだからそんなことしなくていいのにっていう気持ちもどっかにあったな。 コトブキ 泰造さん、ソン・ガンホのこと好きすぎですよ(笑)。 原田 あれは韓国の人にはわかる展開なのかな? 文化の違いで、少し納得できなかった部分もあるのかなって思った。 コトブキ 泰造さんの言いたいことはよくわかります。 終盤にある事件が起こって、ラストシーンにつながっていくじゃないですか。 あの結末にしたかったから、その理由付けのためにあの行動を取らせたという可能性もありますよね。 原田 なるほど。 あのエンディングのアイデアを先に思いついちゃったのかもね。 で、そこにつなげる場面を後追いで作っていった。 コトブキ 逆算して作ったシチュエーションかもしれませんね。 この作品には、ほかにも何カ所かそういう「この画を取りたい!」という考えが先行したっぽいシーンがあると思うんですよ。 原田 それがポン・ジュノらしいし、まさに映画ってそういうものだと思う。 コトブキ ただ、お父さんの行動を肯定的に捉えるならば、人間の感情の奥底は、他人が分からない部分にあるという言い方もできる。 例えば「臭い」というのは、そのぐらいグサっとくるものだった。 原田 ああ、それはわかるね。 コトブキ 子どもの時とか、友達に対して「なんかお線香のにおいがするな」とか、無邪気に言っちゃうこととかあるじゃないですか。 でも、言われたほうは一生覚えてるかもしれない。 原田 そういう「臭い」に対する感覚って人間なら誰でも持っているからこそ、この作品が世界中の人にも伝わって、共感されてるのかもしれないね。 ポン・ジュノは、本当はこうなんだけどっていうのをはっきり説明しないで、お客さんに想像させるのがすごく上手いと思う。 コトブキ だから、鑑賞し終わった後でなんとも言えない余韻(よいん)が残るんですよね。 原田 あの裕福な家の子どもたちに何があったのかとか、それぞれの夫婦間の過去とかも、あんまり説明しないで終わっていく。 これは演出上の我慢だと思うんだけど、それをサラっとやってるところもすごくいい。 コトブキ セリフで語らないで、部屋に置いてある本とか、それこそ臭いが漂ってくるようなディテールで説明してるんでしょうね。 あの階段の質感とか、長さとか。 原田 そうそう、あの階段って長いんだよね。 コトブキ あの階段が暗くて長いからこそ、地下への誘惑が増すってことですよね。 あれも深いですよね。 なんだか「一緒に降りて、底辺の現実を見てみますか」と語っているようでした。 原田 見て見ぬ振りをしていたこと、直視してなかったものを目の前に並べていくような作品だよね。 その並べ方や見せ方が独特だし、表現力がすさまじい。 カンヌで賞を取ったのも納得だね。 (文・大谷弦、写真・野呂美帆) <作品情報> 『パラサイト 半地下の家族』 英題:PARASITE/原題:GISAENGCHUNG 監督:ポン・ジュノ 出演:ソン・ガンホ、イ・ソンギュン、チョ・ヨジン、チェ・ウシク、パク・ソダム、イ・ジョンウン、チャン・ヘジン あわせて読みたい.

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