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お盆 の 料理

お盆にはあの世に旅立った亡き人のたましいが、懐かしいわがやに帰ってきます。 当地では8月13日にお墓参りをして自宅の庭先に迎え火を焚き、各家庭で亡き人をお迎えする儀式を行い、16日の朝にふたたび送り火を焚いてお墓にお連れしてお見送りするのが一般的です。 つまり、3泊4日の日程で、亡くなったご両親やおじいちゃんおばあちゃん、ご先祖さま方の魂を自宅にお迎えし、ゆっくりしていってもらうのです。 わかりやすく言えば、この世で暮らしている私たちが、あの世からやってきた亡き人のたましいを、お客さんとしておもてなしをするのです。 このおもてなしが、いわゆる「お盆の供養」です。 生きているお客さんをお迎えする場合には、まずお通しする客間を掃除して、机や座布団の用意をしますよね。 同じように、まずはお迎えするご先祖さまにゆっくり休んでいただく場所を用意しなくてはいけません。 当地では「お盆棚(おぼんだな)」と呼ぶ祭壇を自宅の奥間に用意する伝統が伝えられています。 「精霊棚(しょうりょうだな)」「施食棚(せじきだな)」などと呼ぶ地域もあります。 お盆棚は、むかしは近所の大工さんなどに作ってもらったり、竹で自作したのですが、現在は仏具店や農協などで組み立て式の便利なセットが売られています。 自宅の都合などで大きなお盆棚が用意できない場合は、仏壇の前に小さな机を置き、その上にゴザや畳の上敷きを敷いて似た感じに仕上げると良いでしょう。 上の二つの写真は、古式通りに準備したお檀家さん宅のお盆棚です。 写真のように、お盆棚の上に畳の上敷きを敷き、前方または四隅に笹つきの竹をひもで結んで立てます。 竹の上方をなわで結んで結界を作り、なわにキレイな花を挿して吊す場合もあります。 お墓参りに使用した盆提灯(ぼんちょうちん)があればお盆棚の上方などにひっかけて吊すなどします。 お盆棚の奥の方に、十三仏や曹洞宗三尊仏などの掛軸、位牌、故人の遺影などを安置します。 掛軸や遺影は無くてもかまいませんが、位牌は必ず安置してください。 仏壇にたくさん位牌がある場合は、すべて横に並べます。 なお、2枚目の写真のように、位牌の上部がフタのようになっていて外せるもの(繰り出し位牌)は、中に戒名が書かれた木札がたくさん入っているので、これを取り出して横に並べる方法もあります。 なお、特に仏具の配置については、地域の慣習や住職の指導を優先して下さい。 割り箸をキッチンばさみで半分に切って、四カ所に刺して手足にします。 あるいはマッチ棒を刺しても良いでしょう。 キュウリが馬で、ナスが牛です。 そのため、キュウリにはしっぽをつけます。 写真のようにとうもろこしの先端の毛の部分を、短く切ったようじや割り箸にからめてキュウリのお尻の部分に差し込んでしっぽを作ります。 ご先祖さまが家にやってくる際は、少しでも早く来て欲しいので足の速いキュウリの馬に乗り、お盆が終わってあの世に帰る時には、なるべくゆっくり帰って欲しいので、足が遅いナスの牛に乗って・・・という、私たちのご先祖さまが考え出したやさしい気持ちがこめられた作法です。 なんでも理屈で考えてしまいがちなせせこましい現代だからこそ、こうした心暖まるほのぼのとした作法を守っていきたいものです。 牛と馬に見えるような形のキュウリとナスをあれこれ選ぶのも楽しいものですよ。 1 お米50ml(1/4カップ)を軽く研ぎます。 2 ナス10g、人参20g、キュウリ20gをサイコロ切にして1のに混ぜ、水気を含ませてうつわに盛ります。 最近は樹脂製のハスの葉に似せた敷物が販売されているのでそれを利用しても良いでしょう。 とうもろこしの粒などを混ぜても良いです。 ナスは、色が変わりやすいので、少なめにするとキレイです。 この水の子をお供えする理由はいろいろな説がありますが、要するにたくさんのご先祖さまをお迎えするわけですから、皆さんに行き渡るように、こうしたたくさんのお米や野菜の粒をお供えするのだと理解すれば良いでしょう。 自分がこの世に生を受けたのは、お父さんとお母さんのおかげです。 お父さんとお母さんには、そのまたお父さんとお母さんがそれぞれいますから、2代前には4人のおじいちゃんおばあちゃんがいるわけです。 同じように10代さかのぼると、1024人のご先祖さまがいて、20代さかのぼると100万人のご先祖さまがおられるのです。 お盆は、そうした数多くのご先祖さまに感謝する期間でもあります。 ご先祖さまあってこその自分であることと、長い歴史の中で受け継がれてきたいのちの重みと大切さをあらためて再認識しなくてはいけません。 そんなたくさんの亡き人のたましいをお迎えするにあたり、みなさんそれぞれに行き渡るように・・・というこれも優しい気持ちがこめられているのです。 また、中には家が絶えてもう誰も供養してくれなくなった無縁の霊や、事情でお盆に呼んでもらえないたましいなどに対しても、広く供養してこの水の子を召し上がってもらうという意味もこめられています。 自分の家のご先祖さまだけで良いという狭い心ではなく、すべての亡き人に捧げるという布施のこころを忘れてはいけません。 お盆期間中は毎日朝晩に取り替えてください。 その他、お茶・お花・ぼんぼり・灯籠・お供えもの・果物・お菓子・だんごなどを適宜お供えします。 そして、線香立て・蝋燭立て・お線香・リン(鐘)などの仏具を用意します。 お盆棚の上段は結界で囲まれた聖域なので、お供えもの以外はあまり置かず、仏具は棚の前に机などを置き、その上に用意します。 その方がお線香を立てたりリンを鳴らすにも都合が良いと思います。 なおろうそくや線香は、お盆期間中ずっと点けておく必要はありません。 火事の危険がありますので、棚の前に誰もいなくなるときは安全のため必ず消してください。 電気式のちょうちんやぼんぼりは、夜になったら寝るまでの間点けておくと良いでしょう。 また、お寺にお願いして書いてもらった塔婆(とうば・卒塔婆のこと)があれば、お盆棚の横に立てかけます。 なお、これは参考までにお寺の本堂に設けたお盆棚(施食棚)です。 本尊さまがおられる北とは逆の南側に用意します。 お寺ではこういう一対の桶に深いおわんを入れ、その片側に水、逆側に水の子を用意します。 法要の際に水を精霊に向かってふりかけるために用いるみそはぎの枝を水の上に用意しておきます。 このお寺でのお盆棚の用意を一部簡略化したのがご家庭でのお盆棚だと言って良いと思います。 なぜここでわざわざみなさんに直接関係ないお寺のお盆棚の写真をお見せしたかというと、理由があります。 各家庭ではお寺とまったく同じ規模の準備をすることは到底できません。 しかしお供えするお膳だけは、ひとてまを惜しまなければ、お寺とまったく同じお供えがみなさんの家庭でもできるのです。 そしてさらに、ぜひともご先祖さまにお供えするお膳を用意していただきたいと思います。 久しぶりに懐かしいわがやに帰ってきた亡き人に、まごころのこもった手作りの料理をお供えすれば、最高のおもてなし、すなわち良き供養になると思います。 故人が好きだった食べものをお供えすれば良いのですが、やはり仏さまになった故人ですから、できれば仏さまの作法にのっとったお膳をお供えしたいものです。 昔は三度三度お膳を作り替えて、自分たちが食べている食事と同じものをお供えしたのですが、今は昔と違って朝はパン、夕方はハンバーグ、という食生活の家庭も多いと思います。 お盆の三日間、毎食丁寧にお膳を用意すれば最高ですが、仕事があったり家族ででかけたりと、実際には毎食丁寧にお供えするわけにはいかないのが現実でしょう。 ですから、お盆期間中に一度だけでかまいませんから、半日時間を作り、精進料理のお膳を用意してお供えしてください。 そして家族みんなでお盆棚の前で同じ物をいただき、飲み物を互いに注ぎ合いながらにぎやかなひとときを過ごし、故人の想い出話に華を咲かせるのも尊いお盆の供養です。 これは当地に古くから伝わるお膳の献立です。 下の写真がいわゆる一汁五菜の形式です。 (ご飯と漬け物を数に加えず、汁が一種とおかず五品) これに別汁としてけんちん汁が付くと、二汁五菜のフルセットになります。 現在でも本式の葬儀の場合にはこの二汁五菜のお膳が作られています。 ・飯椀 白飯 ・汁椀 絹豆腐のすまし汁 三つ葉きざみ ・漬物皿 キュウリとナスの浅漬 ・平皿 がんもどき、結び昆布、いんげんの煮物 ・膳皿 大根、人参、キュウリ、薄揚の胡麻あえ ・つぼ ひじき ・猪口 煮豆 ・小皿 きんぴらゴボウ 昔は精白米が貴重だったため、仏膳では白ご飯が最高のもてなしとなっています。 しかし今の時代ですから混ぜご飯など味のついたものでもよいでしょう。 平皿に煮物、膳皿にあえもの、小皿に炒め物を盛りつけるのが基本です。 なお上記は当地の基本的な仏膳の例であり、別の献立でもかまいません。 お供えする際に注意するのは、箸の方(ご飯と汁の側)が自分とは逆側、つまり仏さまの側を向けることです。 ほとけさまが食べるわけですから、仏さまの方に、箸とご飯が向くようにお供えします。 お膳の並べ方は写真を参考にしてください。 なお、こうした漆塗りのお膳がない場合は、瀬戸ものなど、普段使っている食器でもかまいません。 また、二汁五菜のフルセットでは用意するのが大変だ、という場合には、一汁三菜の形式(おかず三品)でもじゅうぶんなご馳走です。 その場合は、上の写真のように、通常はつぼのひじきと猪口の煮豆を除いて、平皿の煮物、膳皿のあえもの、小皿の炒め物の三品にします。 仏壇前に簡易的なお盆棚を用意する場合などには、仏膳専用のうつわセットが仏具店などで市販されていますので一組購入しておくと良いでしょう。 これがあれば、お盆以外にも、命日や年回法要、お彼岸のお供えなどに使用できて便利です。 このセットは、むかしながらの漆塗りの高級タイプが二万円前後、プラスチック製のものは二〜五千円程度で売られています。 色も黒、赤、写真の溜塗り風、あるいは外側が黒で内側が赤というものも売られています。 写真のように、唐草模様の蒔絵装飾が施された高級仕上げのものもあります。 色の決まりは奥が深いのでここでは簡単に説明しますが、一般家庭なら黒を買っておけば良いでしょう。 あるいは溜塗り(茶色)なら、お祝いのお供えのときにも使えます。 (別に黒をお祝いのお供えに使っても良いのですが) 色よりも、お膳選びには大きさが大切です。 五寸から九寸くらいまでのものが売られています。 これはお膳の台の一辺の長さです。 五寸は約15センチ、九寸は約27センチです。 ご自宅の仏壇の大きさに合わせたものを買わないと、置けなくなってしまいます。 かといって小さすぎると、料理が盛りつけにくくなります。 写真のお膳は七寸(21センチ)ですが、これなら一般的な仏壇にちょうどよいと思います。 ただ、それでも漬物や煮物をみればわかるように、うつわに合うように小さく切り直す必要があります。 フタはフタとして使っても良いのですが、漆のお椀の作法だとフタも裏返して皿として使うのが民間の古い作法です。 このフタを含めた九枚を総じて「九重椀(ここのえわん)」と呼びます。 上の写真は、わかりやすいように上記の黒い漆膳と同じ一汁三菜を、同様のお椀に盛りつけた写真です。 漬物はご飯のフタ、きんぴらは平椀のフタに盛っています。 また、おかずの配置の作法もいろいろあるのですが、基本的にご飯の対角線上に、おかずの中で一番大きな直径のうつわを置くことになっているので、(右手でとりやすいように)この場合は平椀を右奥に置いています。 ただ、おかずを置く作法まで説明すると長くなるので、この場での説明はしませんが、おかずの置き場所はそれほど神経質にならなくて良いです。 お膳セットの説明書も、メーカーによってバラバラですし、それほどこだわらなくてかまいません。 平椀を左奥に置き、きんぴらを右奥、高杯のあえものを中央でも良いですし、高杯を右奥においてつぼを中央に置く説明書もあります。 (ただ、つぼを中央に置くと見栄えは良いのですが、仏膳のつぼは小さすぎて盛りつけがしにくいので、使わない場合もあります) いずれにせよ、お膳の配置方法はまた別の機会に説明したいと思います。 ところで、お供えの場合は味の上手下手は問題ではなく、手作りで一生懸命こころをこめて作ることが大切なのですが、まあせっかく作るのですから美味しい方がいいのは間違いありません。 そこで、ここでは一汁三菜形式のお供えの基本となる三つのおかず、つまり「きんぴらゴボウ」、「胡麻あえ」「がんもどきの煮物」のレシピをご紹介します。 2 がんもどき(一つ40g)に熱湯を10秒ほどそそぎ、油抜きをする。 3 いんげん100gのヘタをとりのぞき、食べやすい長さに切る。 4 1の昆布を包丁やキッチンはさみで細長く切る。 5 1の鍋に2、3、4を入れ、酒50ml、みりん30ml、砂糖5ml、しょうゆ20mlを加えて 中火で15〜20分煮る。 途中、がんもどきをひっくり返す。 6 火を止め、10分ほどそのままおいて味をなじませる。 昆布をはしでつまんで鍋から出し、結びめをつくって結び昆布にする。 がんもどきは十字の切れ込みを入れる。 2 人参50gを同様に千切りにする。 (皮はむかなくても良い) 3 フライパンを熱して油5〜10mlを敷き、水を切った1と2を強火で炒める。 油が回ったら砂糖5ml、しょうゆ15mlを加え、1〜2分炒めたらみりん15mlを加えて 水分がなくなるまで炒めて火を止める。 4 好みで一味唐辛子やすり白胡麻をまぶす。 そうするとおいしそうなテカリがついたシャキッとした きんぴらになります。 仕上げだけでも強火でないと、ジットリしなしなの歯ごたえない仕上がりに なってしまうのでご注意下さい。 2 1をボールに移し、塩2mlをまぶして軽く混ぜ、3分ほどおいてよくもんで柔らかくする。 3 すり鉢か小型のフードプロセッサーに白ごま30mlを入れ、小鍋で酒15ml、 みりん10ml、砂糖2ml、しょうゆ5mlを煮立てて加え、よくすりあげる。 胡麻がすれてきたら米酢15mlを加えてさらにすりあげる。 4 2を手で軽くしぼって水気を切り、クッキングペーパーで拭いてから3とあえる。 こうした昔ながらの作法は、残念ながら少しづつ姿を消しつつあります。 もちろん、時代に応じて変えていくべき作法もあると思いますが、ほんとうに意義深い作法はながく伝えていくべきだと思います。 「忙しいから・・・」と安易に手抜きするのではなく、忙しい中、あえて手間をかけて準備や料理をすることにより、亡き人への感謝やいのちの尊さに気がつくことが大切です。 亡くなった人の気持ちになってみてください。 お盆になつかしいわが家に帰ってくるのを楽しみにしていたはずです。 ようやくわが家にもどってみれば、お盆棚の用意もしていないし何のお供えもないのではがっかりするでしょう。 遺族が手間をかけていろいろな用意やお供えものをしてくれて、みんなでにぎやかに迎えてくれたら、それは亡き人のたましいにとって最高のお盆ですよね。 ぜひ、故人への恩返しだと思って、自分のできる範囲でかまいませんから、お盆のお供えをしてみませんか。 それは地域や宗派、あるいは住職の流儀によってさまざまな作法があるために、なかなか模範的な作法を紹介しにくいからです。 うちのお檀家さんの中でだけでも、地区が違えばお供えの仕方が違いますから。 曹洞宗の公式な印刷物をみても、細かいところはぼやかしてある場合がほとんどです。 ですが、準備をする側としては細かいところまで書いてくれないと困ってしまいますよね。 そのため、あえて今回、批判を怖れずに、うちの寺で基準となっている当地での作法を紹介しました。 この作法であれば、おそらく全国的にみてもほぼ通用すると思いますが、中には「いやいや、うちの方ではご飯はもっと山盛りにします」「あれ、うちの地域のお盆棚とだいぶ違うな」という部分も当然あるでしょう。 そういうときには、地元の風習や作法を優先させてください。 あくまでも一つの参考として御理解いただき、詳しくはお近くの寺の住職や、地域の古老に確認すると良いと思います。 あるいは私の著書『典座和尚の精進料理』にも解説が掲載してありますので是非手にとってご参照ください。 さて、今回掲載した、お盆のお供えを解説した上毛新聞オピニオン21の記事とのコラボレーション企画、非常に多くの方がご覧になってくださり、驚いております。 ブログの集計機能によると、今月はだいたい一日に2000人ほどの閲覧者が平均値だったのですが、記事を掲載した日と、翌日は倍以上の閲覧者がありました。 こうした新聞や雑誌などとのコラボレーション企画は、まだまだ多くの可能性を秘めていると思います。 たとえば、新聞紙上では当然ながら紙面の制限があるため、一つの記事に割り当てることができるスペースと文字数は限られております。 そのため、一つの記事をあまり専門的に詳しく説明することは難しいのですが、こうしたコラボレーション企画で、ネットと連動すれば、まずは新聞の記事で多くの方に対して興味を持ってもらい、それ以上の詳細情報が欲しい方をネットやブログに誘導すれば互いの欠点が補えます。 また、雑誌や新聞では、写真掲載、特にカラーページというのはコスト上なかなか掲載が難しいのです。 ところが、料理写真などは特にカラーでないとおいしさや料理の魅力が伝わりにくいのです。 今回のような解説写真も、新聞にこれほどたくさんの写真を載せることは難しいでしょうが、その不足分をネットで掲載すれば万事解決だと思うのです。 考えてみれば、広告の世界ではそれはすでに主流ですよね。 今後も、機会があればこうした企画に挑戦してみたいと思います。

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郷土料理|「盆汁(七色汁)」(三重県) 夏野菜たっぷり、お盆の伝統料理

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お盆(年中行事・節句)〜日本の行事・暦

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