ヘレディタリー 考察。 『ヘレディタリー 継承』感想(ネタバレ)

映画『ヘレディタリー 継承』あらすじネタバレと感想。ラスト結末も

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『ミッドサマー』ネタバレ考察/マヤはクリスチャンに恋してた? 1つ目の疑問はマヤはクリスチャンに恋愛感情を持っていたのかという点です。 ダニー達がホルガにやって来たときからクリスチャンのことを目で追っていました。 妖艶な雰囲気を持つマヤですが、そこはやはり少女。 恋愛感情があったのでしょうか…。 個人的な考察を述べるとマヤには恋愛感情はなかったと考えます。 考察:歴史は長いはずなのにやけに人口が少ないホルガ 映画で言及されていたか忘れましたがホルガの村はかなりの長い歴史を持っています。 90年に1度の祝祭で選ばれるメイ・クイーンの写真(絵画)の数を見ても分かりますよね。 最低でも数百年以上の歴史はあるでしょう。 しかし、人口は非常に少ないです。 これは祖先がホルガの文化を守るために人口を抑えていたからではないでしょうか。 考察:自分たちの宗教を守るために人口を抑制した 例えば、ホルガの宗教観。 土着信仰でキリスト教などとは全く異なりますよね。 数百年前の北欧ではすでにキリスト教が広がっていたため、ホルガの宗教は異質な存在です。 昔はキリスト教の勢力による異教徒への迫害は日常茶飯事。 ホルガはこれを恐れ自分達の文化が外界に漏れないように人口抑制したのではないでしょうか。 考察:人口抑制のために恋愛の概念を捨てた その手段として、ホルガの祖先は恋愛という概念を捨てる生き方を始めた…とか。 住民達が自由恋愛で子どもを作ってしまうと人口が増え外界に漏れるリスクが高まるからです。 『ミッドサマー』本編を見ると「性」に対して厳しい管理が行われていましたしね。 あれを見る限り住民同士の自由恋愛が認められていないことは明らかでしょう。 考察:マヤはクリスチャンのことを生殖相手としか見てない こうした妄想を踏まえると、ホルガで育ったマヤには恋愛感情がないと思うんです。 そのため、マヤはクリスチャンに対して生殖相手としか見ていなかったと考えますね。 大人達からは「新しい血を与える者を直感で選べ」と言われていたのでないでしょうか。 そこでたまたまダニー一行の中でクリスチャンに目が留まっただけな気がしますね。 その証拠に映画の最後、クリスチャンが祝祭の総仕上げで燃やされても全くの無反応。 クリスチャンを選んだ理由にいわゆる「恋」といった感情はなかったと思いますね。 『ミッドサマー』ネタバレ考察/マヤはその後どうなったのか? 次に気になるのがマヤのその後。 映画を見る限りダニーはホルガに住みますよね? そうなるとクリスチャンと行為を及んだマヤはどうなるんでしょうか…。 個人的な考察を述べるとマヤはダニーに殺されてしまうんじゃないかなと思います。 考察:一見するとマヤとダニーは共同生活できそう ホルガの言葉が話せたり、映画の最後でどこか清々しさがある笑顔を見せたり。 ダニーは祝祭を通して、否応なくホルガに順応していきました。 ホルガの一員になったダニーはマヤと共生できそうに思えます。 とは言え、これはあくまでも一時的な順応だと思うんですよね。 考察:ダニーの順応は生存戦略としての一時的なもの 大前提、ダニーはホルガに順応しなければ殺されるリスクがあったワケですからね。 被害者が生き延びる戦略のために加害者に共感するストックホルム症候群と同じです。 加えて、人が目の前で死んだり、彼氏を寝取られたりとダニーは心的ダメージを受けます。 過剰な心的負担で、心のバランスを保つためにホルガに順応したのでないでしょうか。 そう考えるとダニーの順応は一時的。 何かをきっかけに正気に戻る気がします。 考察:マヤの出産を通して正気に戻り殺意が復活する 例えば、マヤが産んだ赤ちゃんがクリスチャンに似ており、そこで正気に戻るとか。 そして、正気とともにマヤへの恨みも戻って殺意が芽生えるとか…。 仮に『ミッドサマー』の続編があったとしたら描かれそうな展開ではありませんか。 完全に妄想でありますが、マヤはあの後ダニーに殺されると思いますね。 『ミッドサマー』より怖い!『へレディタリー 継承』もお勧め ちなみに『ミッドサマー』の監督アリ・アスターは前作でもホラーを作っています。 それがという作品。 あらすじは以下の通り。 グラハム家の祖母・エレンが亡くなった。 娘のアニーは夫・スティーブン、高校生の息子・ピーター、人付き合いが苦手な娘・チャーリーと共に悲しみを乗り越えようとする。 思いっきり超常現象が起きる絶叫系ホラー映画なんですよね。 『ミッドサマー』はカルト集団の恐怖を描いていたので、別の恐怖を描いてるのがわかります。 映画の終盤まで恐怖の罠が張り巡らされているため『ミッドサマー』より絶叫はできます笑 ちなみに、TSUTAYAやGEOといったレンタル屋で400円くらいでレンタル可能です。 「絶叫してみたい」「アリ・アスター監督作品を見たい」という方は観てみてください。 ただお店で借りるのって面倒くさいですよね?家から微妙に遠いと尚更です。 もし同じように思っている方がいたら動画配信サービスで観るのも一つの手かもしれません。 初回登録なら31日間無料で利用でき、課金配信で使えるポイントが600円分もらえます。 『へレディタリー』は550円の課金配信ですが、このポイントを使えばタダで視聴可能です。 スマホからでも簡単に登録できるため1〜2分で視聴できます。 に興味は持ったけど、借りに行くのはダルいという方はお勧め。 U-NEXTでタダで「絶叫系ホラー」を楽しんでみてください。

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【完全ネタバレ】「ヘレディタリー 継承 (原題: Hereditary)」映画レビュー ネタバレあり 11月日本公開決定!

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記事の内容 大変話題になったホラー映画『ヘレディタリー 継承』。 でプレミア上映された直後から絶賛されており、 「直近50年のホラー映画の中の最高傑作」「21世紀最高のホラー映画 」ともいわれています!! 今回の記事では、ネタバレ考察をしていきます。 ホラー映画ではありますが、細部まで計算された伏線が見どころです。 一回みただけでは全体を掴めないくらい、はっきりとは明示してくれないところがあります。 そうした細部まで、この記事では、考察していきたいとおもいます。 それでは、目次をご覧ください。 ヘレディタリー継承 あらすじ 祖母であるエレンが亡くなり、娘アニーは夫であるスティーブンと息子ピーター、そして人付き合いが苦手な娘チャーリーと共に家族を亡くした哀しみを乗り越えようとする。 不思議な光が部屋を走る、誰かの話し声がする、暗闇に誰かの気配がする…。 まるで狂ったかのように…。 そして最悪な出来事が起こり、一家は修復不能なまでに崩壊。 そして想像を絶する恐怖が一家を襲う。 そのため、その対象がチャーリーだとおもってしまう。 彼女のやや不気味な言動からは、『オーメン』『エスター』のような得体のしれない子ども系ホラーかと予想してしまう。 しかし、なんと序盤でその予想は覆ることになる。 そこから、この映画は、徐々に方向が変わっていく。 とくに、母親であるアニーの視点から、息子であるピーターの視点に移っていく。 そこで明らかになる衝撃の展開がこの映画の魅力だ。 バラバラな視点からは謎だった現象。 その裏には、ある「計画」があったのだ! その意味で、今作はがらりと変わるどんでん返し的な要素もあるとおもう。 チャーリーの死の謎 この映画での転換点こそが、チャーリーの死だ。 あの事故は、観客たちにとっても突然すぎるものだったと思う。 このチャーリーの死は、ただの事故だったのだろうか? そうではなく、この死がこの物語が先へ進むために必要な過程だった。 ぶつかった電柱には、あの「ペイモン」のマークがついているのに気が付いた人も多いと思う。 ここが伏線になっている。 チャーリーは計画のためには、死ぬ必要があったのだ。 なぜならば、「ペイモン」の魂は、チャーリーの身体に宿っていたからだ。 しかし、ペイモンが復活するには、男の身体が必要である。 だからこそ、チャーリーの身体から一端、解放される必要があったのだ。 すべては「ペイモン」という存在のせい この映画は、悪魔信仰が軸になっている。 だから、悪魔信仰側、つまり、ペイモンを復活させようとしている側がらみると、筋道がとおった映画になる。 ペイモンを復活させるための「計画」が進んでいくからだ。 しかし、すべてを知らないグラハム家の視点から見るので、正体がわからないホラー映画になっている。 そして、ペイモン復活という計画を進めているのが、悪魔信仰集団のリーダー的存在である祖母エレンである。 本編のスタート時点では、彼女は亡くなっているが、すべての元凶が彼女の計画である。 アニーの兄は自殺している。 「何かが自分の中に入ってくる」という言葉を残して。 これは、復活に失敗したことを暗示している。 ペイモン、パイモン 現れる際には、を被り女性の顔をした男性の姿を取り、に駕しているとされる。 また、トランペットやシンバルなどの楽器を携えた精霊たちを先導として現れる。 最初に現れた際にパイモンは大音声で怒号のように話すため、服従させない限り召喚者はパイモンの話を理解できないという。 生贄により召喚された際には、 ベバル( Bebal)と アバラム( Abalam) (または ラバル( Labal)と アバリム( Abalim) )という二人の王を従え、時として25軍団の能天使たちを伴う。 人に人文学、科学、秘密などあらゆる知識を与えるといわれ、大地がどうなっているか、水の中に何が隠されているか、風がどこにいるのかすら知っているという。 召喚者に地位を与え、人々を召喚者の意思に従わせる力も持つ。 また良い使い魔を用意してくれるともいう。 wikiより あの青い光はなに? ピーターが目撃する青い光のようなもの。 それはいったいなんなのだろう。 明快な答えは劇中では語られない。 しかし、正体は ペイモンの痕跡のようなものだとおもう。 ペイモンがピーターの身体をのっとるには、ピーターの魂を除く必要がある。 そのために、ピーターの精神を徐々に弱らせる必要があった。 そして、最終的なきっかけが、屋根裏からの落下だ。 落下した後のピーターの身体に、青い光が侵入していく。 目覚めたピーターは別人のようになってしまう。 裸の人々の正体は? ペイモンをあがめる団体の人々だろう。 悪魔崇拝者たちだ。 生前のエレナを筆頭に、活動していた。 服を着ないということは、生まれてきたまま意味するという。 生前のエレナの計画にのっとり、彼らも動き出したのだろう。 その筆頭がジョーンだ。 アニーのかなしみを巧みに利用し、彼女に交霊術をつかうように仕向けた。 信頼している相手に裏切られるアニー。 良かれと思ってしたことが、最終的にピーターを追い詰めることになってしまった。 首なしの二つの死体 君臨したペイモンの前にひれ伏す二つの首なし死体。 片方は、黒く腐りかけ、もう片方は、血がしたたり落ちている。 祖母エレナの死体と、母アニーの死体だ。 首なしで動いたり、宙に浮いたりしているあたり、すでに人知を超えている。 つまり、ペイモンをあがめるものたちにも、なんらかの力がやどることがわかる。 それこそ、ジョーンのように交霊の力や、なんらかの呪いをかける力が宿るのだろう。 しかし、気になるのは彼女らの今後である。 「ペイモン」復活が目的なのは明らかになった。 しかし、その次が気になる。 彼女たちは、ペイモンさえ復活してしまえば自分たちの身のことはどうでもよかったのだろうか? それならば、個人的な願望のためというより、大いなる目的のためということだろう。 まさに、宗教的、オカルトてき映画になる。 まとめ 個人的にもとても楽しめた映画でした。 展開の予想のつかなさ、伏線の巧みさ、恐怖表現の秀逸さなど、いろいろと質が高かったです。 皆さんはどう感じたでしょうか?いろいろと細部の情報を集めることで、さらなる謎が明かされるかもしれません。 監督の最新作である「ミッドサマー」に期待しています。

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【ネタバレ解説】映画『へレディタリー/継承』“今世紀最も恐ろしいホラー”である理由を徹底考察

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「現代ホラーの頂点」(USA TODAY) 「史上最も恐ろしい」(The Guardian) 「新世代のエクソシスト」(Time Out) 「骨の髄まで凍りつく」(Hollywood Reporter) メディアがこぞって絶賛し、全米を凍りつかせたホラー映画 『』。 日本でも「悲鳴OK」の絶叫上映が開催されたものの、あまりの恐怖で観客が声を出せなかったという逸話があるほど、その怖さは折り紙つきだ。 一体この映画のナニがそんなに怖いのか?という訳で今回は、 『へレディタリー/継承』についてネタバレ解説していこう。 エレンの娘アニーは遺品の中から「私を憎まないで」というメモを発見し、その直後彼女の部屋でエレンの幻を見てしまう。 いや、それは本当に幻だったのだろうか!? エレンの死をきっかけにして、残された家族に次々と不思議な出来事が起き始める。 次第に情緒不安定となっていくアニー。 やがて想像を絶する恐怖が彼女たち家族に襲いかかる……。 処刑執行人が斧を振り下ろして、メアリーの首を切り落とすという衝撃的な映像(もちろんトリック撮影)。 およそ考えられるホラー演出は、出し尽くされてしまった感がある。 今や映画界は、『ゲット・アウト』『ドント・ブリーズ』『イット・フォローズ』など、単に怖いだけではなく、ワンアイディアをプラスして新奇性を打ち出した「新感覚ホラー」時代に突入しているのだ。 しかし『へレディタリー/継承』は、クラシックな薫り漂う正統派ホラー。 奇をてらった演出は何もせず、抑揚の効いた端正な語り口で、静かに恐怖を構築していく。 これが長編デビュー作となる監督のアリ・アスターは、参考にしたホラー映画として『 回転』(1961/ジャック・クレイトン監督)、『 ローズマリーの赤ちゃん』(1969/ロマン・ポランスキー)、『 赤い影』(1973/ニコラス・ローグ監督)を挙げている。 どれも1960年〜70年代に公開された、古典ホラーの傑作ばかりだ。 例えば「真昼間にピーターが学校で昼食を取っていると、敷地の向こう側から女性が『肉体から出ていけー!』と狂ったように叫ぶ」シーンがあるが、これは明らかに「真昼間に東屋から向こう岸を眺めていると、女性らしき幽霊がこっちを見つめている」という『回転』の有名なシーンからインスパイアを受けたものだろう。 「悪魔を崇拝するカルト教団によって、ある家族の運命が大きく変わっていく」というストーリーラインは、そのまま『ローズマリーの赤ちゃん』だったりする。 それがどんな「不幸」であるかは、監督が明言していないため知る由もないが(逆に怖い……)、『へレディタリー/継承』はホラー映画であると同時に、かなりヘビーな家族崩壊映画であることは重要なポイントだ。 実際アリ・アスターは本作を撮るにあたって、「家族が崩壊する映画」のリストを作っている。 最も参考にした作品が、ロバート・レッドフォード監督の『 普通の人々』(1980)。 水死事故で長男を亡くしたことをきっかけに家族が機能不全に陥り、崩壊していく様子をヴィヴィッドに描いた一作だ。 チャーリーの死をきっかけにして家族が瓦解していく『へレディタリー/継承』もまた、『普通の人々』と同じようなプロットをなぞっているのだが、その描写がハンパない! チャーリーが電柱にぶつかって悲惨な最期を遂げるシーンを思い返してほしい。 運転していたピーターは茫然自失となり、恐怖のあまりバックミラーを見ることもできない。 自宅になんとかたどり着いてヨロヨロと自室に入り、まんじりともせずに朝を迎える。 カメラは彼の顔のアップを捉え続け、憔悴しきった表情を克明に映し出す。 やがて聞こえてくる母親の絶叫。 そして、無数の虫がたかっているチャーリーの首のアップ。 アリ・アスターはピーターの内面にできるだけ観客を同一化させることで、「自分が妹を殺してしまった」という最悪な状況を、トラウマレベルで描き出している。 夕食の席で、自分の過ちを認めようとしないピーターにアニーがブチギレる場面も、観ていてとにかくツラい。 筆者的には、近年で最も居心地の悪い食事シーンであると断言しよう。 思えば、彼が2011年に発表した『 The Strange Thing About The Johnsons(原題)』は息子が老いた父親に性的虐待を加える話だし、2013年に発表した『 Munchausen(原題)』は母親が息子に干渉しまくるという話だった。 アリ・アスターにとって 家族とはお互いを思いやる存在ではなく、地獄に陥れる呪いなのだ。 決して避けられない悲劇的な運命 家族の呪いは、決して避けることのできない運命としてのしかかる。 アニーはドールハウス作家という設定だが、夢遊病に苦しめられている彼女にとって、ミニチュアやドールハウスを作る行為自体が、一種の箱庭療法なのだろう。 しかし、「ドールハウスにカメラが次第に近づいていくと、いつのまにか現実の部屋になっている」というオープニング・ショットが暗示するように、箱庭を作っている彼女自身が、実はより大きな存在に操られていることが明らかになる。 「ヘラクレスの受難」についてピーターが講義を聞くシーンがあるが、これも「自ら受難を受け入れるしかない」という、家族の運命を示唆したもの。 映画が始まった瞬間から、物語が悲劇的な結末へ一直線に向かっていくという構造は、アリ・アスターがかなり自覚的に目指したものだ。 And everything is inevitable. Throughout the film, things are just sort of clicking into place and all those things are driving this family towards one end. すべては避けられないことです。 映画全体を通して、物事はその場でカチッと音を立てるように、この家族を一方的な方向へ向かわせているのです。 (VARIETY誌 インタビューより) 注意して観ていただきたいのだが、実はチャーリーがぶつかる電柱にはパイモンの紋章が刻まれている。 チャーリーの死は単なる事故ではなく、カルト教団による故意の殺人。 またアリ・アスターは、こうも語っている。 From very early on I was describing this as an existential horror film. 非常に早い時期から私はこれを実存的ホラー映画と表現していました。 (VARIETY誌 インタビューより) 実存とは「実際にこの世に存在すること」であり、「現実に存在すること」。 アリ・アスターは家族の呪いを「実存的ホラー」ととらえて、『へレディタリー/継承』をつくりあげたのだ。 母親のアニーに視点が切り替わるが、彼女も自分でノコギリギコギコで首チョンパし、最後の最後でこの物語の真の主人公がピーターであることが明らかになる。 少しずつ登場人物の視点を変えることで、物語が辿り着く先を予想させないという、緻密に練り上げられたシナリオがとにかく最恐。 先が読めないため、観客は常に気持ちが不安定な宙ぶらりん状態になってしまう。 なおかつ、アニーには「夢遊病」という設定があることで、我々観客は彼女を「信用できない語り手」(=鑑賞者を騙しかねない語り手)として認識してしまう。 アニーの身の回りに起きる超常現象が、全て彼女の幻覚・幻聴かも?とミスリードさせられてしまうのだ。 その黒さ故に「漆黒の闇のその向こうに、何かがうごめている……」という描写が、観客が勝手に想像してしまうぶんだけ怖く感じられるのだ。 直接的ではなく間接的に恐怖を倍増させる手法はJホラー的ともいえるが、アリ・アスターは影響を受けた映画のひとつとして、溝口健二の『 雨月物語』(1953)を挙げている。 光と影を駆使して描かれる、幽玄の美学。 『へレディタリー/継承』の撮影には、実は日本のクラシック映画の影響があるのかもしれない。 父親スティーブ役のガブリエル・バーンは、かつて『エンド・オブ・デイズ』でサタン役を演じた悪魔顔だし、母親アニー役のトニ・コレットは、戦慄におののく表情がもはやR指定レベル。 その真打ちというべきなのが、チャーリー役のミリー・シャピロだろう。 主要キャラクターの顔力がハンパないのだ。 むしろ、「 これって自分だけに聞こえているんじゃないか?」と思うくらいに抑制された、繊細な音がかすかに流れている。 うっすら鳴り響く重低音、ノイズのような不協和音、そして舌を鳴らすときの「コッ」という音。 サウンド・デザインの慎ましさゆえに、逆に観客は想像力をかきたてられ、内に眠る恐怖を呼び起こすのだ。 彼の真価は、おそらく次回作で明らかになることだろう。 そしてその審判の日はまもなくやってくる。 新作『 Midsommar(原題)』が、2019年7月3日より全米公開されるのだ。

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